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経験者から学ぶ&交換留学派遣生からの便り

大_ 早恵

ロシア

パスポート紛失、ロシア警察へ行く

大_ 早恵さん

繊維学部先進繊維感性工学科
留学期間:2019年 8月 4日 ~ 2019 年 8月 27日
留学先:ロシア 極東連邦大学

派遣先大学について

 日本(成田)からたった2時間30分のフライトで到着するロシア極東、軍港・商港都市ウラジオストク。その中心部から車を1時間ほど走らせ辿り着くルースキー島にひとつの巨大なリゾート地のごとく姿を現すのがFEFU(Far Eastern Federal University/極東連邦大学)です。極東国立大学を母体とし、ウラジオストク市内にある他のいくつかの大学と併せて改組され、2010年に極東連邦大学となり、2012年に現在のルースキー島のキャンパスに移転しています。なお、現在のキャンパスの施設は2012年にロシアAPEC会場として使用されたもので、モダンでとても清潔な環境に思います。今回サマープログラム開催時期は、当大学も夏休み期間であり通常の授業等は行われていません。その代わり、大学施設が9月のフォーラムで使用されるようで、建物内や敷地内道路では修繕工事や新たな建物の増設が行われていました。

 また、これがロシアか!と思った環境は、寮も含めすべての建物の入館時に厳重なセキュリティチェックがあるということです。パスポートを見せ身分を証明し、荷物チェックをしなければなりません。このシステムは、国立大学時代にはなく連邦大学に変わってから厳しくなったとのことです。

学習・活動面について

 参加者は約60人で日本、中国、韓国、台湾、フィンランド、スイス、ドイツ、スペインから来ていました。割合は日本人が一番多く、半数を占めていました。

 今回のサマープログラムには、

1.ロシア語を学ぶ語学授業

2.各参加者が選択するモジュール授業(ロシアの言語と文化、ロシアの外交政策、映画から学ぶ現代ロシア、アジア太平洋諸国のマーケティング、グリーン経済)

3.ツアーアクティビティ

の大きく3種類の内容があります。

1.ロシア語を学ぶ語学授業では、参加者はレベル別に4つのクラスに分けられました。(A=上級~D=初級とすると)Aクラスのみロシア語での授業で、B~Dクラスはそれぞれ適度に英語も交えながらの授業でした。私はCクラスでしたが、たまたま私以外日本人はおらず、中国、フィンランド、スイスからの多国籍メンバーでthe留学の環境が楽しかったです。

 これらの予定されていた内容の他に、現地のボランティア学生のご厚意でダウンタウンツアーや料理会も開催され、そちらもとっても楽しかったです。

生活について

 とにかく広いキャンパスの中でも目を見張る光景が11棟の巨大なホテル(寮)の存在です。我々サマープログラム参加者もこの立派な寮に拠点を置き生活します。部屋は2人部屋で、冷蔵庫、洗面所、シャワー、トイレも各部屋に備わっており快適そのものです。また、キッチン(流し・電子レンジ・オーブン・コンロ)と洗濯機は共同で使用できます。ただし、鍋やフライパン等の調理器具は持参もしくは現地購入が必要です。

 夏休み期間中のため、キャンパス内で営業しているカフェや食堂や売店は、数自体は少なかったものの休日も含めて毎日どこかは営業しているので食住に困ることはありません。食堂や売店で売っている軽食はとりわけ安くはなく、日本と同じくらいの値段感覚です。なお、ウラジオストク中心街へはバス(片道40円程度)で容易に出かけることが出来るため、スーパーマーケットへ行き食材を安価に手に入れることをおすすめします。

派遣先で得たこと

 楽しい毎日を送っていましたが、パスポートを紛失してしまい、それに気づいた瞬間、すべての思い出がかき消されお先真っ暗になりました。落とした心当たりのある場所で見つかりましたが、拾い主の一般男性がパスポート返却にあたり不当な金銭要求をしてくるという、特例のケースでややこしい展開に発展してしまいました。私ひとりでは何も解決できませんでした。FEFUの先生方をはじめ多くの方の助けがあってこそ無事解決することができました。

 パスポートを紛失すると帰国できません。私の場合は、パスポートは見つかったものの、不当な要求に答えることは犯罪を認めてしまうことになるため受け取ることは諦めました。そしてこの状態では不法滞在となるため、帰国するための“渡航書”の発行をしなければいけません。

 渡航書の発行手順は、1.警察署へ行きパスポート紛失届を発行してもらう2.日本領事館で書類を提出し渡航書を発行してもらう です。

 最難関は警察署です。FEFUの先生と日本語が話せる学生と一緒に警察署へ行きパスポート紛失届を発行してもらいました。ここでは紛失日時や理由等を記入し申請しますが、警察官とのやり取りも含め勿論すべてロシア語です。もし先生が状況を説明してくれなければ、もし学生が通訳してくれなければ、警察署に入ることすらできなかったでしょう。警察官もめげるなと励ましてくれました。

 無事に紛失届けを手に入れたら急いで在ウラジオストク日本国総領事館へ行きます。ここで役立ったのはパスポート(名前のページとビザのページ)のコピーと自分の顔写真です。日本から持参していなければ、現地で顔写真の撮影をする手間もかかるので、念のために準備していて良かったと心の底から思いました。

 その後、渡航書の発行が終わったとき、パスポートを受け取れるぞという連絡が入りました。実は私が領事館で手続きをしている間、警察官が拾い主へ連絡し、不当要求について指摘し圧力をかけたため無償での返却を認めたそうです。よってすべてが解決し無事次の日の帰国に間に合うことができました。

 この経験は今後忘れることはないでしょう。自分の気の緩みから発展した嵐に多くの方を巻き込んでしまったことを反省し、助けてくれたことに感謝し、またこの経験をバネにトラブルに打ち勝つ語学力をつけるため頑張ろうと思います。

 今回、ひとりだけ特別警察ツアーに変わり1番行きたかった場所に行けなかったので、私はまたウラジオストクに遊びに行くでしょう。そのときはパスポートをなくさないことを誓います。

後輩へのアドバイス

 ロシア人はよく皮肉も言うし冗談も好きみたいです。拙いロシア語でも伝えようとすれば聞いて理解しようとしてくれます。このプログラムは自由時間がとても多く遠出もできるので、観光客の少ない場所にも行ってみるといいと思います。ロシア語しか聞こえない環境は緊張しますが興味深い経験ができると思います。そして何か困ったら現地の人に尋ねてみてください。親切に教えてくれると思います。

 ロシアに興味がある人へは勿論、韓国や中国に興味がある人にもウラジオストクはおすすめです。韓国と中国からの観光客が非常に多いため街中で話をすることができます。困っている観光客がいたら韓国語(中国語)で手助けできることもあります。これは韓国(中国)に行って韓国語(中国語)を使うときにはきっと起こらないシチュエーションでしょう。